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トレーラーの構造計算や使用鋼材について

2020年になりました。
昨年後半は、トレーラー導入検討、導入後整備、不具合発生、
そして2020年モデルとの入替えなど充実した後半でした。
今年は新型トレーラーでキャンプやツーリングを楽しみたいですね。

さて、私のトレーラー整備もやっと落ち着いてきました。
整備途中の動画などもyoutubeにアップしてご覧いただいた
方からも、コメント等をいただきました。
SNSの原付トレーラー板などでも、活発な情報交換もあるようです。

中には、溶接スキルがある方がトレーラーを自作する事もあるでしょうね。
重要なのは、トレーラーも車両の1つであり、バイクと同じ速度で走行する
ので、それなりの頑丈さが要求されるという事でしょうか。
華奢な作りだと、ツーリング途中で走行不可になったりしますからね。

 そこで、私の思うトレーラーの構造や基本力学について少しまとめて
みました。(自作経験はありませんが)
 
一体どんな材料でトレーラーを製作すべきか?
丸パイプ/Lアングル/□パイプ? それとも木製?
荷重の考え方はどう計算するのか?などなど。
学校で習った土木構造力学の手法を使って整理してみます。
1.トレーラー計算モデルの設定
計算用の仮想モデルの一輪トレーラーで実施します。
・バイク後輪からの接続アームL=600mm
・荷物積載部 L=1000mm
・トレーラースウィングアーム長L=600mm
      つまり、全長は2200mmとします(下図)
001rinrin - 1
バイク後輪から接続し、一輪タイプで後端にタイヤがあるもの。
それに40kgの荷物を乗せる....とします。
2.荷重の安全率
トレーラーは走行振動を受けるので積載した荷重は衝撃で
より重くなると考えて計算します。 どのくらい重く計算
するか....ですが、力学的には3〜5倍重くなると考えます
  台所用の秤をイメージして下さい。そこに何か1kg位の
ものを載せます。そして秤全体を手で持って上下に揺らします。
重さの表示が変化しますよね。 軽くなる場合もあるけど
1kgではなく、2kgとか重くなる場合もありませんか?
揺れをもっと激しくすると、さらに3kgとか5kgとかになる
場合もあるでしょう。(瞬間的な重さですけどね)
それをトレーラーけん引走行に置き換えると、走行振動により
荷物重量が連続的に変化し続けるという事になります。
011rinrin.jpg
その変化(重くなった場合)を想定して、使う材料の強度を決める
必要があります。本件では、それが何倍くらい重くなるか?
 その倍率を「安全率」と称します。
 本件では安全率3(つまり40kgが3倍の120kgになる)と
して計算します。
3.トレーラーの構造材
トレーラーを模式的に単純化すると下図になります。
006rinrin - 2
バイク後輪とトレーラー後端のタイヤで支持され、真ん中に荷物。
それをフレームで支える。このフレームを構造部材と称します。
ネットで検索すると、巷では下図のような自作の写真がありますね。
002rinrin - 2

005rinrin - 5
なかにはこんな構造も。
003rinrin - 3
いずれにしても、積載した荷物重量に耐える事が条件ですよね。
私には金属溶接は無理ですが、L型アンブルや、丸パイプを溶接
できる人なら自作できそうですね。(木製はどうなんだろw)
構造部材をどんな材料・どんな太さにすべきか....悩みますね。
 本件では、パイプやアングル等の金属製材料に着目します。
4.トレーラーの力学
 走行するトレーラーには路面からの衝撃や荷物重量、けん引する
力とか実際は複雑な力が働くと思います。
 土木屋的には、複雑な動的な力を含んだ計算はできません(笑)
そこで、荷物重量の40kg×3倍=120kgの荷重だけを考えます。
言い換えれば、静的な力を安全率で割増した上で計算するという事
ですね。そして荷物40kg相当の120kgを支えるフレーム構造部材を
決定したい訳です。
007rinrin - 1
120kgの重量を上図のように真ん中で支えると考えます。
専門的には「集中荷重を載荷した単純梁」という形態です。
梁(つまりフレーム)は当然、点線のように曲がろうとします。
曲がっては困るので、その曲がる力より丈夫な材料を
使う訳です。(当然ですね)
ここで曲がる力を「モーメントM」と呼びます。

また、材料の断面の形や太さで材料の強さが変わってきます。
細い竹ひごより、太い竹の割り箸のほうが強いですよね。
 そのような断面ごとの違いを数値化したものを「断面係数Z
と呼びます。
 それにより、この材料の断面1ミリ四方に働く力(σ)を求めます。
5.構造計算
少し専門的かも知れませんが解りやすく整理したつもりです。
以下の順番で、計算します。
  step1:曲がる力(M)を算出
     (トレーラー寸法や荷物重量で決まってくる)
  step2:使う構造部材を仮定する。(Lアングルとか○パイプ)
      部材形状ごとに断面係数(Z)が異なります。
    step3:仮定した部材に働く力(断面力σ)を算出する
    step4:その断面力σが鉄の強度(σa)を下回るならOK....
              NGなら、step2に戻る...の繰り返しです。

さて、それでは実践です。
step1:まずフレームが曲がる力(M)を求めます。
 M=PL/4 という構造力学の公式で求めます。 
 ここで、Pは120kg。Lはトレーラー長さの220cmです。
計算単位の関係で、
  M=1200N×2200mm/4 =660000(N・mm)となります。
step2:次に、使う材料を仮定します。(ここからトライアルになる)
   まずは、L型アングル25×25 t=3mm を使うと仮定しましょうか。
   このような既製品はJIS規格で寸法や強度が決まっています
 L25 t=3mmはZ=0.488cm3(448mm3)と決まっています。
 それを参考写真のように2本並べて使うので
   Z = 448 ☓ 2 =896 mm3 という事になります。
   それにより、フレーム材料の断面力(σ)を求めます。
step3:σ=M /Z という式になっています。
    だから σ= 660000 / 896 = 737 N/mm2 です。
  これを構造材料の強度と比較して判定する事になります。
 JISによるこの手の既製品鋼材(STK400)の強度は 400N/mm2
  (σaと称す)となっています。 
step4: 式で書くと、断面力(σ) < 強度(σa) でなければいけません
 この計算では、σ737N/mm2  > σa 400N/mm2 となり
 断面力が鉄の強度を超えている....という事が判明しました。
 L型アングル 25☓25 t=3mm は使えない.....という判定結果です。
  つまり、step2に戻る必要がある.....という事ですね。
6.参考
 上記ではL25アングルは使えない事になりました。困りましたね。
ではどんな材料ならOKか....参考までに計算します。
 L30アングルはどうか? Z=585mm3 です。
  σ=M/Z = 660000/585☓2= 564 > σa NG です。これも駄目。
 最後にL40アングルはどうか? Z=1210mm3 です。
  σ=M/Z = 660000/1210☓2= 273 < σa OK です。

 思い切って丸パイプ直径27.2mm t=2mmとしましょうか。
  Z=930mm3です。これを2本とします。
 σ=M/Z = 660000/930☓2= 355 < σa OK です。

 □50(t=1.6mm)はどうか? Z=4680mm3 です。(1本配置)
  σ=M/Z = 660000/4680= 141 < σa OK です。
 これなら使えますね。

    ここまでの計算結果を整理しましょう。
  ・積載重量40kg、安全率は3なので換算重量は120kgとなる。
  ・曲がる力(M)=660000N・mm2
  ・材料強度(σa)=400N/mm2
  1)L25の場合     σ(737) > σa (400)   判定 NG
  2)L30の場合     σ(564) > σa (400)   判定 NG     
  3)L40の場合     σ(273) < σa (400)   判定 OK      
      4)○27.2の場合   σ(355) < σa (400)   判定 OK     
  5)□50の場合  σ(141) < σa (400)   判定 OK(1本)
 つまり、上記の3)〜5)の部材で制作するならOKという事ですね。
まとめ
  今回記事では、トレーラーの材料や力学的な整理をしてみました。
 おさらいです。
 1)仮想の一輪トレーラーをモデルとして計算
 2)荷物重量は40kgと仮定
 3)安全率は3〜5だが、低めの3として計算した。(120kg)
 4)走行時の衝撃は無視。 トレーラーの自重も無視。
 5)サスペンションは計算上無いものと見なす
 6)課題としては
   ・荷物重量40kgが妥当な重さなのか
   ・安全率3で良いのか? より慎重に5で計算すべきでは?
   ・○パイプでなく、□パイプだったらどうなるのか?
   ・自作加工を考えた場合、○か□のどちらが良いか?
   ・部材を2本配置した計算だったが、下図のように
    1本配置ならどんな部材が使えるのか?
008rinrin - 1
      などがあるでしょうね。
  機械や自動車設計のプロから見れば違和感があるかも知れません。
 土木屋目線でのまとめですので、ご容赦下さい。
 ご意見等あればコメントよろしくお願いします。
-------- 追記 -------------------
強度的に使える材料が複数あることがこれまでの計算で判明しました。
次に、丈夫な材料を1本配置するのか、少し弱い材料を2本
配置するのか....でトレーラーの自重も異なります。
荷物を運搬するのがトレーラーの目的なので、不必要に重い
トレーラーにする必要は無いですよね。軽いほうがバイクへの
影響も少ないでしょう。
 つまり、「使える材料の組み合わせのうちで最小重量」が
最善の構造だとも言えます。 その観点でエクセルで複数材料
の計算や自重計算をしたのが下図です。
009rinrin.jpeg
   上図で緑部分が使える材料と配列です。
           (必要本数が3本以上の材料は使わないと考えた)
 これによると、L40アングル2本の場合ではトレーラー自重は8.1kgです。
          (1.83kg/m☓2.2m☓2本=8.1kgという計算です)
 反面、Φ34パイプ1本で作ると、4.0kgと半分になります。角型40鋼管でも
 4.1kgと半分ですね。つまり1本フレーム構造のほうが軽量化できる。
  トレーラー自重は軽いほうが何かと有利だと言えるでしょう。
 さらに、同じ重量(約4kg)の1本フレームで比較するなら
 Φ34パイプと角40では断面係数比較で1.7倍くらい角40のほうが強い
 となります。(1700:2900)
 このように使う鋼材の組み合わせで、トレーラー自重も変わってきます。

 そうは言いながらも、荷物の積載方法(固定方法)を考慮に入れる必要
もあるでしょう。
 RV-Boxのような荷箱をフレーム固定するなら1本フレームでも可能です。
 (1本フレームに支持材を溶接して魚の骨のような感じでBOXを固定)
  そうでなく、防水バックのような袋を網で固定するなら2本フレームに
 して、床板を貼ったほうが便利かも知れません。
というように、積載方法を含めたフレーム材配置も必要でしょうね。
012rinrin.jpg

  上記の計算では主フレームを力学的観点で計算してみました。 
しかし実際は、接続アームもスィングアームも一体となって荷物を支える訳です。
 だから、接続アームやスイングアームも主フレームと同じ強度が必要です。
010rinrin.jpeg
スィングアームは解体部品等でバイク用を流用すると考えれば強度的には
荷重に充分耐えられと判断して良いでしょうね。
では、接続アームはどうでしょう?
 上のエクセル計算の右上で必要断面係数というものを計算しています。
 この必要断面係数を持つ材料を接続アームにも使う必要があると考えます。 
 主フレームを角型鋼管40(1本)とした場合でも接続アームはΦ27.2 
(2本)となる....というのが私の考えなんですけど。

冒頭のトレーラー失敗動画を見ると、接続アームが1本の穴あき鋼材で
作ってあり、強度不足(特にねじりに弱い)は否めないと思います。
 一輪トレーラーでは、トレーラーのバンク(傾き)も発生するので
接続アームが1本という構造では心配ですね。
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コメント

大変参考になりました!

コメント失礼します!
30等辺アングルでトレーラー自作しようと思ってましたが、この記事を読み40等辺にサイズupを決めました。タンデムでキャンプに行く際は全荷物約30㌔をトレーラーに載せて走る為強度がどうかと悩んでました。
大変参考になりました!
40等辺アングル二本と真ん中□40×40×2.3のフレームでトレーラー製作してみます!
ありがとうございますm(__)m

re:大変参考になりました!

こんにちは。コメントありがとうございます。
私なりに感じた事を書き綴っているブログですが、
お役にたてるなら何よりです。

自作できる環境とかスキルをお持ちなら色々遊べていいですね。

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